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【確定申告】電子帳簿保存法について調べてみた(2016年10月時点)

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Mainframe computer

(写真は本文と関係ありません。なんとなく「電子」で「保存」っぽいので……)

※ この記事の対象読者は「個人事業主」かつ「青色申告をしようとする人」です。


私は個人事業主(青色事業者)なので、年を明けると確定申告をする必要があります。

去年の確定申告で「電子帳簿保存法」というのを小耳に挟み、すこしググったのですが分からずじまいでしばらく放置していました。

今日、ふと思いたって税務署に電話して質問し、その後追加で色々調べて「電子帳簿保存法に基づく書類の電子保存」が分かってきたので、まとめておきます。

おことわり

  • この記事は2016年10月時点の法令等に基づきます。
    • 今後新たに法令等が改正されることがあるので、最新情報をご確認の上お読みください。
  • この記事は青色申告をする個人事業主向けの情報です。
    • 白色申告(少額の場合など)を希望する場合は、電子保存自体が必要ない代わりに紙での書類保存が必要です。
  • 以下の説明では、基本的にクラウド型の事業会計サービスを念頭に説明します。パッケージ型の事業会計ソフト(弥生会計シリーズなど)については、各自でご確認ください。
  • この記事には誤りが含まれているかもしれません。不明な点については、国税局のウェブページ(記事末尾を参照)を参照した上で、お近くの税務署に直接お問い合わせください。

いきなり結論

取引が少ない個人事業主は、電子帳簿保存法に基づく電子保存は考えずに、素直に書類は紙で保存した方がたぶん楽です

  • 会計サービスを使う場合、追加の費用がかかることがあります
    • 例:MFクラウド経費の場合、フリープランで電子帳簿保存法に対応することはできません。対応プラン(月額800円〜)へのアップグレードが必要です。
  • 個人事業主の場合、書類中でスキャンが適切に行われているかをチェックできる会計士の指名(および押印)が必要になります
  • 使用する機器自体の型番・メーカー名を事前に書類で申告しておく必要があります
    • スキャナだけでなく、作業用のPC・プリンタや、カメラ撮影・アプリ使用のために使うスマートフォンなども申告が必要です
    • これらの機器を買い換える場合には、書類提出により変更を申し出る必要があります

逆に、取引が比較的多い個人事業主は、電子保存を適用するメリットが大きいと思います。

目安として

  • 領収証や請求書などが大量にある人(月10件以上?)
  • 領収証の入力を自分で行わず、自動データ化サービスを頻繁に使う人
    • MFクラウド経費でいえば「自動データ化プラン」(月額800円・オペレーターによる領収証入力が無制限で頼める)を契約している人など
  • 既に決まった税理士さんが顧問に就いている人

なら、電子保存の費用対効果は大きいと思われます。

ただし、以上は今現在(2016年10月)の話です。法令等が変わった場合に、もっと簡略化されるかもしれません。その場合は、今はやめておくことにした人も改めて電子保存を検討してもよいかもしれません。


以上をふまえた上で、もし興味があれば以下も読んでみてください。「あ、自分には要らないな」と思われた方は、ここでブラウザを閉じても構いません。

対応する会計サービス

メジャーな下記3つのクラウド型会計サービスが対応しています。

電子保存できるもの

厳密な定義は省き、大ざっぱに書きます。

なお、下記のうち、個人事業主の記帳や確定申告で関わってくるのは「③スキャナ保存書類」です。 ただし、国税庁での説明が多少ややこしいので、他のものも簡単に説明します。

  • ①電子帳簿
    • 国税庁での正式名称:国税関係帳簿の電磁的記録
    • 実際には、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトに備わる帳簿システムおよびデータベースのことをいいます
    • 個人事業主が扱う範囲で関わることはあまりないと思います。
  • ②電子書類(会計ソフトの書類データベース)
    • 国税庁での正式名称:国税関係帳簿書類の電磁的記録
    • 国税関係書類(領収書、請求書など)を(紙に印刷せずに直接)電子保存したもの
    • 実際には、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトの機能を使って保存された書類データのことをいいます
    • これも個人事業主の範囲では直接は関係ありません。実際には③でまとめて扱えるようです。
  • ③スキャナ保存書類
    • 国税庁での正式名称:国税関係書類をスキャナで読み取った電磁的記録
    • 紙の国税関係書類(領収書、請求書など)をスキャンし、所定の要件を満たす形で保存された電子書類
    • 実際には、下記のような書類データです:
      1. 電子帳簿保存法に対応した会計ソフトの機能を用いて
      2. の国税関係書類を会計ソフトでスキャンした上で
        • あるいはPDFなど電子ファイルの国税関係書類を会計ソフトに登録して
      3. その会計ソフトの機能により保存された書類データ

以下、③について詳しく説明します。

スキャナ保存書類

電子書類の要件

まず、PDFやExcelファイルなどの、いわゆる普通の「ファイル」のままでは要件を満たせずNGになります。

電子帳簿保存法に対応した会計ソフトに登録されたデータが、電子帳簿保存法でいう「電磁的記録」として正式に認められます。

「電磁的記録」は、必ず次の要件を満たす必要があります(重要なもののみ抜粋):

  • タイムスタンプ
  • バージョン管理機能

ただし、これらの要件は会計ソフトが備えるべき要件でもあるので、事業主の実務としては、必要な手続きを済ませた上で、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトに従って書類を記録すればOKです


タイムスタンプを使う関係上、必ず、書類を受領したら会計ソフトに「速やかに」入力・登録する必要があります

  • 「速やか」という言葉は国税用語で、正確には下記の通りです:
    • 早期入力方式:1週間以内
    • 業務処理サイクル方式:業務処理にかかる期間(1ヶ月以内)+1週間以内

日常の運用例

日常の業務としては、「領収証を受け取ったとき」に対応する会計サービスが多いです。

MFクラウド経費のスマートフォンアプリを例で説明します。

  • 紙で領収証・レシートを受け取った場合
    • 領収証の氏名を確認もしくは記入
    • MFクラウド経費アプリで領収証を撮影
    • そのままアプリでアップロード
      • (クラウド上で要件上必要なタイムスタンプが付与されます)
      • あとはクラウドサービス上の入力や通常の経理フローに回ります
    • 紙の原本は念のため保存します
  • PDFで領収証を受け取った場合
    • MFクラウド経費(PCまたはアプリ)でアップロード
      • 印刷は不要です
      • (クラウド上で要件上必要なタイムスタンプが付与されます)
      • あとはクラウドサービス上の入力や通常の経理フローに回ります

また、「自分の事業から請求書・領収証を発行する場合」については、各々の会計ソフト・サービスのヘルプやサポートをご確認ください。(執筆時点で、MFクラウドでは対応していません……泣)

実施の要件

電子帳簿保存法に基づく電子保存を申請する場合、個人事業主だけで全てが完結するわけではありません。具体的には、次の作業を行う者を指名する必要があります:

  1. 領収書などのスキャニングを行う作業担当者(=個人事業主の場合は本人や代理人など)
  2. 1を管理監督する管理責任者
  3. スキャナ保存制度が適切に実施されているか定期的に確認するチェック担当者

個人事業主の場合、上記のうち2と3を行う税理士を指名する必要があります。

申請のしかた

電子帳簿保存法に基づく電子保存を行うにあたって、事前に書類による申請・許可が必要です。

会計サービスが提供する用紙を使う場合

お使いの会計ソフト・サービスが電子帳簿保存法に対応している場合、そのついでに申請用紙を各ソフトやサービスごとにカスタマイズしてくれた書類を用意してくれている場合があります。こちらの方が記入が楽だと思うので、ぜひ利用してください。

公式の記入用紙を使う場合

自分で全て記入する場合、申請書類は、下記サイトにあります。

電子帳簿保存法関係|税務手続の案内|国税庁

そのうち、「スキャナ保存書類」に対応するのは

国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請

です。記入要領や記入例もよく読んでください。

提出時期

電子保存を開始する3ヶ月前に提出する必要があります。

例えば、確定申告の次年度初め(1月1日)に合わせたい場合は、その前年の9月30日までに申請書を提出する必要があります。

年度途中から開始しても構いません。ただし「開始日よりも前に受領した書類」は必ず紙で保存してください

(問8・解説) 国税関係書類については、それが作成されると直ちに保存されるものであることから、課税期間の中途からでもそれ以後の作成分を電磁的記録等により保存することができることとなります。なお、この場合は、その中途の日の3月前の日までに申請書を提出する必要があります(法62)。

適用要件~一般編|その他法令解釈に関する情報|国税庁

国税庁のページ

その他の参考サイト


以上です。

それでは個人事業主の皆さん、確定申告頑張りましょう……。

藤原 惟